血流依存性血管拡張反応(FMD)とは?フラバンジェノールの血管柔軟性に対する有効性もご紹介

フラバンジェノール®
2021.03.19

加齢とともに低下する血管内皮機能は、動脈硬化の進展により発症する心血管病などの重篤な疾患にも深く関与するため、血管柔軟性(血管内皮機能)の低下を予防することは、健康を維持するうえで非常に重要であると考えられます。

東洋新薬の機能性素材フラバンジェノール(R)は、加齢とともに低下する血管柔軟性の維持をサポートする素材です。今回は、そんなフラバンジェノール(R)の成分と血管内皮への働きについてご紹介します。

プロシアニジンB1, B3とは?

東洋新薬の機能性素材「フラバンジェノール(R)」は、フランス海岸松樹皮由来の抽出物で、プロシアニジンB1, B3を特徴成分として含んでいます。

プロシアニジンは、カテキン類が重合した構造を持つ化合物の総称です。カカオ・黒大豆・シナモン・ナッツ・りんご・ぶどうなど、さまざまな食品に含有されています。プロシアニジンは、抗酸化作用をはじめとして、脂肪酸合成抑制やβ酸化亢進による内臓脂肪低減、コレステロール合成抑制やコレステロール排出促進による血中コレステロール低減、リパーゼ阻害活性による血中中性脂肪上昇抑制、インスリン分泌促進による血糖値上昇抑制など、さまざまな機能性を有することが報告されています。

プロシアニジンの中でも、プロシアニジンB1, B3(図1)は松樹皮に多く含まれる成分で、当社の機能性素材「フラバンジェノール(R)」の規格成分となっています。また、フランスでは松樹皮の抽出物が血管保護を目的とした医薬品に用いられています。

図1. プロシアニジンB1(左), プロシアニジンB3(右)の構造

血管内皮とは?

血管内皮は、血管の最も内側にある細胞層です(図2)。血管内腔と血管壁を隔てる単なるバリアーではなく、血管拡張因子や血管収縮因子などさまざまな生理活性物質を産生・分泌し、血管の収縮調節機能を担っています。全身の血管内皮を集めると、総重量は肝臓に匹敵し、総面積はテニスコート 6 面分、一列に繋げると地球 2 周半にも相当するといわれており、ヒト最大の内分泌器官とも称されています。

血管内皮が障害されると、動脈硬化が進展して心血管病などを発症するため、正常な血管内皮が持つ血管の伸縮調節機能、すなわち「血管柔軟性」は健康の維持において非常に重要と考えられます。

図2. 血管の構造と血管内皮の機能

血流依存性血管拡張反応(FMD)とは?

血管内皮機能の評価方法:複数あるうち最も広く利用されているのがFMD

一般臨床における血管内皮機能の評価方法としては、plethysmograph(プレスチモグラフ)、flow-mediated dilation(FMD)、reactive hyperemia peripheral arterial tonometry(RH-PAT)などが挙げられますが、非侵襲的かつ動脈硬化性疾患の初期評価に有用であるという長所・利点があり、FMD はよく利用されている検査方法です1)

FMD:学術的に認められた血管内皮機能を評価する指標

FMDは上腕動脈を締め付けた後の血管の拡張度を示し、血管内皮機能を評価する指標です。1992 年に Celermajer らが脂質異常症患者におけるFMDの低下を報告したことから始まり、現在では「血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン」や「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」に記載され、学術的にも認められている評価方法です1)2)3)

また、欧州食品安全機関(EFSA)が発行するガイダンス4)において、血管内皮機能は心血管の健康に関連する機能の評価指標の一つとして挙げられていることに加え、食品成分を4週間以上継続摂取することによる空腹時FMDの増加は、有益な生理学的効果であるとされています。

FMDの意義:動脈硬化を早期に検知して予防・対策

多くの研究により、血管内皮機能は心血管病発症の予後規定因子として認知されています。血管内皮機能の低下は、生活習慣の改善によって回復することが示されているため、早期に血管内皮機能の低下を捉え、禁煙・運動などの適切な介入を行うことで動脈硬化に進展しないように対処することは非常に重要であり5)、FMD検査の意義はこの点にあるといえます。

年齢によるFMD値の変化:加齢とともに減少

健常な日本人のFMD 値について、男女ともに加齢によって減少することが知られています。男性では、30~40代で約6%、50~60代以降で約5%程度に低下し、女性では、30~40代で約8.5%、50代で約6%、60代以降で約5%程度まで低下することが報告されており6)、また、男性では、平均21歳の被験者で約7.9%7)、平均49歳の被験者で約5.9%8)であったという報告があります(図3)。

図3. 健常な日本人の加齢によるFMD 値の変化
※複数の文献情報6)7)8)からの推定

フラバンジェノール(R)の血管柔軟性に対する有効性

40~64歳の健常男女を対象として、フラバンジェノール(R)(プロシアニジンB1及びB3量として2.4 mg/日)を含む被験食品を摂取させました。その結果、対照食品群と比べて、摂取8週後において空腹時のFMD変化量が有意に上昇しました(図4)9)。このことから、フラバンジェノール(R)は、加齢とともに低下する血管柔軟性の維持に役立つことが示唆されました。

図4. フラバンジェノール(R)摂取による血管柔軟性に対する効果

この作用機序として、フラバンジェノール(R)がもつ血中 LDL コレステロール低下作用が関与している可能性があります。血中 LDL コレステロールが上昇すると血中の酸化LDLが増加し10)、酸化LDLが血管内皮を傷害して血管拡張因子(一酸化窒素)の産生能を低下させます11)。またFMDは血中LDLコレステロールと負の相関があることが知られています12)。このことから、フラバンジェノール(R)は、血中LDLコレステロールを低下させることで、FMDの低下を抑制し、血管柔軟性の維持に寄与することが示唆されます。

まとめ

血管内皮機能は加齢とともに低下しますが、動脈硬化の進展により発症する心血管病などの重篤な疾患にも深く関与する因子であるため、血管柔軟性(血管内皮機能)の低下を予防することは健康を維持するうえで非常に重要であると考えられます。
フラバンジェノール(R)の摂取によりFMD値が有意に改善したことから、フラバンジェノール(R)は加齢とともに低下する血管柔軟性の維持に有効であり、健康の維持・増進に役立つと考えられます。
血管柔軟性に関する訴求が可能な機能性関与成分で初めて機能性表示食品の届出情報が公開された成分は、プロシアニジンB1及びB3(届出番号:F623)です。血管機能の機能性表示化を実現した最初の素材として、今後も「フラバンジェノール(R)」の機能性開発と幅広い商品への展開が期待されます。

>関連情報:「フラバンジェノール」の3つの機能性~OEM開発事例もご紹介~
>お役立ち資料:フラバンジェノール 紹介資料

【出典】
1) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
2) Vykoukal D, Davies MG. Vascular biology of metabolic syndrome. J Vasc Surg. 54, 819-31, 2011.
3) Celermajer DS. et al., Non-invasive detection of endothelial dysfunction in children and adults at risk of atherosclerosis. Lancet. 340, 1111-1115, 1992.
4) EFSA, Guidance for the scientific requirements for health claims related to antioxidants, oxidative damage and cardiovascular health (Revision 1). 2018.
5) 東幸仁監修, 動脈硬化とFMD, サラヤ株式会社.
6) Tomiyama H. et al., The Relationships of Cardiovascular Disease Risk Factors to
Flow-Mediated Dilatation in Japanese Subjects Free of Cardiovascular Disease.
Hypertension Research. 31, 2019-25, 2008.
7) Takuma M. et al., High-intensity resistance exercise with low repetitions maintains
endothelial function. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 315, 681-6, 2018.
8) Hirofumi T. et al., Relationships among Hyperuricemia, Metabolic Syndrome, and
Endothelial Function. 24, 770-4, 2011.
9) Fujiki K. et al., A Study on the Effect of Food Containing Pine Bark Extract on Vascular Endothelial Function -A randomized, Double-blind, Placebo-controlled, Parallel-group Study-. 薬理と治療. 48(5), 853-858, 2020.
10) Leonard P van der Zwan, Circulating Oxidized LDL: Determinants and Association With Brachial Flow-Mediated Dilation. J Lipid Res. 50, 342-349, 2009.
11) Gradinal D. et al., Oxidized LDL and NO synthesis -Biomarkers of endothelial dysfunction and ageing. Mech Ageing Dev. 151, 101-13, 2015.
12) Laclaustra M. et al., Association of endothelial function and vascular data with LDL-c and HDL-c in a homogeneous population of middle-aged, healthy military men: Evidence for a critical role of optimal lipid levels. Int J Cardiol. 125, 376-82, 2008.

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