血管・血流ケアと健康の関係性は?メカニズムやポイントを解説
血管・血流が、全身の健康機能と密接に関わっていることをご存じでしょうか?血管や血流のケアを行い、若々しく維持することで、「動脈硬化」を予防することにつながるだけでなく、冷え・むくみの軽減や美容効果など、全身のさまざまな健康維持にも関わっていることが知られています。
今回は、血管・血流ケアと健康について取り上げ、メカニズムや血流改善に効果がある素材などについて解説します。
目次
血管・血流ケアの重要性
「毛細血管の老化」という事実
ヒトは年齢とともに老化しますが、血管も例外ではありません。「血管の老化」というと、心筋梗塞や脳梗塞など深刻な疾患を引き起こす「動脈硬化」をイメージするかもしれませんが、動脈や静脈だけでなく、体の末端まで広く存在している「毛細血管の老化」も、全身の健康機能に深く関与することが報告されています。
毛細血管は全身の血管の99%を占めており、体中に約37兆個あるといわれる細胞に酸素や栄養分を運搬する重要な役割を担っています。しかし、毛細血管の1本1本は、髪の毛の1/20~1/10程度の細さの血管であり、非常に脆い構造となっています。毛細血管は、高血糖・高脂血症・高血圧、運動不足・睡眠不足などの劣悪な生活習慣や、加齢によって機能が低下してしまいます。
老化や生活習慣の乱れが続くと、毛細血管の外側を構成する壁細胞が剥がれていきます。すると、血管構造が維持できなくなり、血液成分が漏れて、その先にある毛細血管への血流が途絶えてしまいます。やがて、毛細血管の内側にある血管内皮細胞も死滅していき、毛細血管は死んだ状態「ゴースト血管」となります。その結果、手足・皮膚などの末端組織や、さまざまな臓器で酸素不足・栄養不足が生じ、全身が老化していくといわれています1)。
図1 毛細血管のゴースト化による血管数の減少
動脈硬化と疾患
上述のような高血糖・高脂血症・高血圧、運動不足・睡眠不足などの劣悪な生活習慣は、動脈硬化の原因にもなりえます。
動脈硬化とは、本来弾力があり、ゴムのようにしなやかな血管が加齢や血液中で増えすぎた悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が原因で血管の壁が分厚くなり、弾力性を失ってしまう病変のことです。
動脈硬化を放っておくと、血管プラークができるなどして、血管の内側が狭くなり、血液が流れにくくなり、その先の組織に酸素や栄養が行き届かなくなります。それにより、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症など、死に至ることもある病気を引き起こす原因となり得るのです。
これらのような血管の老化や血管病は、食生活や運動を意識した血管・血流ケアを行うことで、血管が老化しにくく、弾力性を維持させることも可能です。つまり、健康的な血管・血流を維持するためにはケアが重要であるといえます。
血管・血流ケアのメリット
冷えの軽減
血管は、酸素や栄養分を運ぶだけでなく、末端組織に熱を配る役割も担っています。そのため、「冷え」を軽減するためには、手足などの末端部位において、毛細血管の血流量を増やすことが非常に重要です。
むくみの軽減
「むくみ」は、座ったままもしくは立ったままといった、長時間同じ体勢で作業などを続け、血行が悪くなり、毛細血管から染み出る水分が増えてしまうことで発症します。足の血流を正常化することで、むくみを改善することができます。
美容
「シミ」の主な原因として、紫外線等によるメラニンの過剰生成が挙げられます。皮膚の新陳代謝が低下すると、生成したメラニンが剥がれ落ちず、表皮の底部に沈着してしまいます。シミの改善には皮膚の新陳代謝を高めることが重要であり、そのためには皮膚の血液循環を改善することも有効な手段です。
また、皮膚血流が増大すると、体内から角層へ水分を供給でき、肌の「乾燥」軽減にも役立つことが報告されています。
さらに、眼の下の「くま」についても、酸化ヘモグロビンの減少やメラニンの蓄積が原因とされており、血流を増加させることで改善することができます。
血管・血流ケアのポイント
「血管内皮」が重要
血管内皮は、血管の最も内側にある一層の細胞層です。全身の血管内皮の総重量は、肝臓にも匹敵します。また、総面積はテニスコート6面分、一列に繋げると10万Km(地球2周半)にも相当する、ヒト最大の内分泌器官です2)。
血管内皮は、体に有益な成分(生理活性物質)を作り出したり、血管内に放出したりしています。その生理活性物質の一つであるNO(一酸化窒素)は以下のような働きがあります3)。
- 血管を広げる働き
- 血栓(血の塊)の形成を防ぐ働き
- 血管壁が厚くなるのを防ぐ働き
この血管内皮細胞の働きが低下してしまうと、血管が広がらなくなり、血栓ができやすくなります。その結果、血管壁が厚くなり、動脈硬化と呼ばれる状態に進展してしまいます。以上のことから、血管内皮の機能低下を防ぐことが、血管・血流ケアにおいて重要といえます。
「血管内皮」を健康な状態に維持する
血管内皮を健康な状態に維持するためには、その機能が衰える以下のような原因を取り除くことが重要です。
- 加齢
- 高血圧、高コレステロール、高血糖
- 生活習慣(塩分の過剰摂取、運動不足、喫煙など)
例えば、食塩摂取制限です。血管内皮機能の回復に効果があると言われており、肥満正常血圧者に減塩食を2週間摂取させた研究では、減塩していない食事を摂取した場合と比べ、血管内皮機能が増加したという報告があります。
他にも、適度な有酸素運動、減量や禁煙などの生活習慣改善によって、血管内皮の障害となる原因を取り除くことで、内皮機能を維持・回復させることができます。
血管・血流ケアに有効な素材・成分
血流に対する有効性が確認されている素材・成分としては、黒ショウガのポリメトキシフラボン・柑橘果皮のヘスペリジン・コーヒー豆のクロロゲン酸・ヒハツのピペリン・エラグ酸・松樹皮抽出物などが知られています4)5)6)。
まとめ
いかがでしょうか。毛細血管や末梢血流を含め、血管・血流ケアを行うことで、冷え・むくみの軽減や、美容効果、眼精疲労の軽減、肩こり解消、疲労回復、育毛、男性機能向上など、さまざまな健康機能に関与することが報告されています7)。
血管や血流の状態は、加齢によっても低下してしまいますが、日々の生活習慣の影響も強く受けるため、偏りのない食事をとることや、適度な運動を行うことに加えて、健康食品の利用も血管・血流ケアに有効です。
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【出典】
1)腸内細菌による小腸絨毛ゴースト血管の全身への波及, FOOD STYLE21, 2019 ; 271:33-35
2)血管内皮機能測定の意義, 心臓, 48, 476-479, 2016.
3)梅津拓史,血管の専門医が教える『血流』をよくする最高の習慣,総合法令出版,2020.
4)黒ショウガエキスの血流改善を伴う冷え性・むくみ改善作用, FOOD STYLE21, 2020 ; 283:41-45
5)冷えを訴える女性に及ぼす酵素処理ヘスペリジンの効果, 日本栄養・食糧学会誌, 2008;61(5):233-239
6)生コーヒー豆由来クロロゲン酸の単回摂取が顔面皮膚性状に及ぼす影響, 日本食品科学工学会誌, 2021 ; 68(3):124-132
7)血流改善成分の開発と応用, シーエムシー出版, 2018
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