血糖値とは?高いと何が悪い?メカニズムや予防法を解説

ターミナリアベリリカ™バナスリン®
2021.11.10

今回は、健康食品やサプリメントの商品開発を行う上で理解しておきたい「血糖値」について取り上げます。そもそも血糖値とは何か、高くなる・低くなる仕組み、血糖値を改善するためにできることなど、血糖値に関してまとめてご紹介します。

血糖値とは?

血糖値とは、「血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度」を示す数値です。

私達は食事からエネルギーを得て活動しています。人がエネルギーとして使える栄養素は「炭水化物(糖質)」「たんぱく質」「脂質」の3種類があり、このうち炭水化物(糖質)を摂取すると、体内で消化吸収されブドウ糖となり、血液中に入って全身に運ばれます。ブドウ糖は脳の唯一のエネルギーであり、筋肉の栄養でもあることから、私達が生きる上で欠かせない存在なのです。

血糖値は常に一定に保たれていますが、高くなり過ぎると、身体に負担がかかり、糖尿病や動脈硬化の原因にもなると言われています。一方で、血糖値が低すぎると、自律神経や中枢神経に影響を及ぼします。そのため、血糖値は高すぎず、低すぎない状態を保つことが最も好ましいです。

血糖値は運動や食事などにより大きく変動します。ここでは血糖値が高い状態に注目して、食事の有無に分けて、「空腹時の血糖値」と「食後の血糖値」についてみていきましょう。

空腹時血糖と食後血糖について

図1 血糖値の推移

血糖値には普通に私たちが生活している「空腹時」の血糖値と「食後」の血糖値が存在します。

空腹時の血糖値は健常な方であれば70~100mg/dLですが、食後の血糖値は摂取した糖がグルコースとなって血中に吸収されるため、健常な方でも100~140mg/dL程度まで上昇します。その後、インスリンというホルモンがはたらいて、一定時間内に空腹時の正常値まで下がります。この血糖値の上限変動は1日3回、食事のたびに起きています(図1)。

また、健常者では食事で上がった血糖値は速やかに下がりますが、慢性的に血糖値が高い疾患である「糖尿病」の方は、空腹時血糖だけでなく食後血糖も高く、しかも一度上がった血糖値がなかなか下がりづらいといった特徴があります(図1の赤線)。

空腹時に血糖値が変動する仕組み

上述の通り、血糖値は食事により大きく変動するのですが、何も食べていないときでも血糖値が高い場合があります。その原因として、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きが関係しています。

インスリンは、細胞へ血液内のブドウ糖の取り込みを促進し、エネルギー源として利用させ、余ったブドウ糖のグリコーゲンや中性脂肪への変換を促進することで血糖値を下げる働きがあります。血糖値を上げるホルモンはグルカゴンをはじめ数種類ありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみとされます。つまり、体内でインスリンが効かなくなる、分泌量が少なくなると、空腹時であっても血糖値が下がりにくくなります。

高血糖状態が続くと血液内の糖が体内のたんぱく質と反応し、複数の反応を経て血管壁を傷つけると言われています。そのため、空腹時の血糖値は、動脈硬化に繋がるリスクが高い「メタボリックシンドローム」の診断基準の1つとなっています。「空腹時血糖値」が高い方は、注意が必要です。

食後に血糖値が変動する仕組み

食事に含まれる糖質は、唾液に含まれるアミラーゼや小腸に存在するグルコシダーゼなどにより分解され、体内に吸収されます。その結果、食後に上昇した血糖値はインスリンの働きで徐々にエネルギー源となったり、貯蓄できる形に変換されたりして、数時間かけて食事前の血糖値まで戻っていきます。

食後の血糖値が高い状態が続くと、空腹時血糖と同じく、動脈硬化のリスクが高まることが知られています。さらには空腹時の血糖値が高いことよりも、食後の血糖値が高い方が疾病のリスクが高まるとも報告されています。

そのため、空腹時の血糖値が高くなくても、「食後血糖値」が急上昇する傾向にある方も、注意が必要です。

食後高血糖について

食後高血糖とは、文字通り食後の血糖値が高く、140mg/dL以上になってしまっている状態です。

上述の通り、空腹時の血糖値が高いことよりも、食後の血糖値が高い方が疾病のリスクが高まることが報告されています。つまり、食後の高血糖の抑制が動脈硬化の予防により大切であると考えられます。

これは、「DECODA研究」の成果からもいえます。DECODAとは、日本人を含むアジア人を対象とした複数の疫学研究のデータをメタアナリシスで解析した研究です。その結果、空腹時血糖と心血管疾患による死亡のリスクと関連は認められなかった一方で、食後血糖が高いほど心血管死のリスクが高くなることが示されています(図2)。

図2 血糖値と心血管死の関係:DECODA研究

なお、糖尿病に関する研究は数多くあり、中には空腹時血糖が糖尿病の合併症と強く関連することを示している研究もあります。「空腹時血糖は高くてもよい」ということではありませんので、ご注意ください。

血糖値が高いと何が悪い?

食後など高血糖が続く状態では、グルコースがたんぱく質を糖化することでAGEs(最終糖化生成物)とよばれる物質が生成され、そのAGEsは酸化ストレスの原因になることが知られています。

動脈硬化は、高脂血症や酸化LDLが要因となって血管内皮が障害を受けることで引き起こされますが、高血糖によって生じたAGEsや酸化ストレスは、その動脈硬化の進展を増強させてしまう働きがあると言われています(図3)。

図3 動脈硬化の原因

私たちは通常、毎日3回の食事を摂るため、1日のうち比較的長い時間を血糖値が高い「食後」の状態で過ごしています。したがって、食後血糖の上昇を抑えることは、動脈硬化の予防にかなり重要であると言えます。

>関連記事:動脈硬化が起こるメカニズムとは?心臓や脳の病気との関係も解説
>関連記事:動脈硬化の危険因子とは?疾患との関係や診断基準値を解説

血糖値を下げるための方法

食後の高血糖を抑えるために、普段の生活習慣で意識・実践できることが多くあります。以下のようなことが挙げられます。

  • グリセミックインデックス(GI値)が低い炭水化物を選んで摂取する
  • ゆっくり食べる
  • 食後に運動する

GI値が高い、つまり糖質が多く入っている飲食物は穀類(米、小麦製品)、芋類、煮物、揚げ物、清涼飲料水などです。糖質を控える代わりに、肉・魚・卵などのたんぱく質や野菜に多く含まれる食物繊維を摂取するとよいでしょう。

また、「間食・夜食を控える」ことも、そもそも血糖値を上げないという点で、重要です。

さらに、トクホや機能性表示食品にも難消化性デキストリンやターミナリアべリリカ™など、食後の血糖上昇を抑える働きを持つ成分を含んでいるものがあり、有用であると考えられます。

>関連記事:「ターミナリアベリリカとは?その機能性は?」

血糖値の改善が期待される成分

血糖値を下げる方法の一つとして、血糖値の改善が期待される成分について、効果を及ぼす仕組みとともにご紹介します。

「空腹時血糖値」の改善に有効な成分

5-アミノレブリン酸リン酸塩、L-アルギニン、ナリンジン

これらはエネルギー産生を活性化し体内の糖質の活用を促す、またはインスリンの働きを改善して血糖の細胞内への取り込みを高めて血糖値を下げる効果が確認されています。

「空腹時血糖値」の改善に有効な成分

α‐シクロデキストリン、アルギン酸Ca、イソマルトデキストリン、イヌリン、グアーガム分解物、コーヒー由来クロロゲン酸類、サイリウム種皮由来の食物繊維、サラシア由来サラシノール、サラシア由来ネオコタラノール、ターミナリアベリリカ由来没食子酸、トレハロース、バナバ葉由来コロソリン酸、パラチノース、ボタンボウフウ由来クロロゲン酸、ポリデキストロース、ルテオリン、大麦由来β-グルカン、希少糖、桑の葉由来イミノシュガー、桑由来モラノリン、小麦アルブミン、難消化性デキストリン

これらは、糖質の分解酵素(アミラーゼやグルコシダーゼなど)や消化管でのブドウ糖吸収を阻害し、食事に含まれる糖の体内への吸収を穏やかにする。またはエネルギー産生を活性化し体内の糖質の活用を促す、インスリンの働きを改善するなどして血糖の細胞内への取り込みを高める結果、食後血糖値の上昇を抑える働きが確認されています。

血糖値が低いとどうなる?

血糖値が低すぎることも問題で、「低血糖」と呼ばれる状態です。血糖値が70mg/dL以下になると、自律神経や中枢神経に影響を及ぼし、さらに血糖値が低くなると、脳へのエネルギー不足から意識低下や昏睡に至る場合があります。

高血糖に視線が向いてしまう血糖値ですが、高すぎず低すぎない状態を維持することが最も好ましいといえます。

まとめ

いかがでしょうか。今回は血糖値について取り上げ、メカニズムや予防法などを解説しました。

「空腹時血糖値」は健康診断でも用いられ、比較的親しみがあると思います。一方、「食後血糖値」はなかなか測る機会がないと思いますが、高い状態が続くと健康に大きな影響を及ぼすため、注意が必要です。動脈硬化を防ぐために、「食後血糖値」を抑える重要性を知っていただくきっかけになればと思います。

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参考文献:(DECODA研究)
Nakagami et al. Hyperglycaemia and mortality from all causes and from cardiovascular disease in five populations of Asian origin. Diabetologia. 2004, 47(3):385-394.

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